医学書 ブックレビュー
No.340
年報 医事法学24(2009年版)
これも医事法学関連の勉強のために逆向きに遡って読んでいる年刊の一冊。 2009年版であり、医師。医療機関の損害賠償責任についてのワークショップと終末期医療のルール化についてのシンポジウムが中心に取り扱われている。 ただ、今回読んだ中では、判決紹介のところでの、「採決検査時の静脈穿刺手技上の過失」である。 この手の解説はいろんな書籍でも扱われているが、どうも一断面のみをとって著者のいいたいことのために使われている節があり、統一した論調になっていない気がしていました。 ルポ風の扱い方であり、控訴審という、どの断面かもはっきり解る書かれ方になっているのは逆説的な意味あいを感じてします。 内容評価は 、 値段は 。 ある意味懐かしい気になる横浜市立大学患者取り違えの最高裁判決も医療事故と過失の競合として出てきます。この年代で最終決着かと思うと、 やはり裁判というのは年数のかかるものだと実感してしまい、また、当初の印象だけで、その事件、裁判を理解してしまう危険性を再認識しました。お勧め度は、 とします。
Mar28.2013(N)
No.339
行動の基礎 豊かな人間理解のために
行動分析学と学習心理学の知見を総合してまとめたガイドブック的な一冊。ただ、以前のテキストもそうであったが、行動分析学と学習心理学の境界は当方には不明で、 全く同じものに見えてしまう。著者もあとがきで触れているようにスキナーの功績に沿って書かれた内容としての理解であれば、どこが学習心理学なのか、となってしまうのである。 本書もガイドブックというよりは学習用のテキストであり、大抵行動分析学の書籍では引用されている種本である。 よく解らないままテキスト的な本を読みすぎたのか、同じような内容であり、同じような感想にしかならない。 ただ、内容に乏しいという訳ではないのでご理解いただきたい。ただ、繰り返し成るが、答えが見つかっていないのも事実である。 内容評価は 、 値段は 。 学問としては、背景、理論的構築など、理解しやすいシステム構成となっていると思われるが、現場への応用が日本では発展途上なのかもしれず、 答えなど現在では存在しないのかもしれない。当方のひとりよがりのような気がしてきました。お勧め度は、読んだ順番が関係しているかもしれませんが、 とします。
Mar27.2013(N)
No.338
方法としての行動療法
行動分析学の臨床応用を学ぶ目的で読み進めている中の一冊。本書は行動療法の大家である山上先生の近著である。 通常の精神療法の多くは意味で構成されているが、行動療法は方法で構成されている治療法であり、そのため病理理論や人間理論が必要とされる。 そのための行動分析学という意味づけになるのだが、山上先生の主たる活動が文献リストから見ると1970年代に始まり最盛期が1980年代であったように思われる、 その時代に日本では行動分析学なるもの自体が存在しなかったためか、現在の認識と少し異なるようである。 もちろん、原点のスキナーを参照し、考察されているが、現在の行動分析学の方向性と必ずしも一致していない。 多分、そういったことを目的に書かれた書籍ではないのであろう。行動療法を理解し、分析、技術論的な解説や変容についての記載なぞ、実務として利用出来る内容であるが、 一般診療としての意義付けは少ないと思われる。残念な気がする。 内容評価は 、 値段は 。 精神科向けの行動療法を不必要と言うつもりはないが、一般診療としての応用はなかなか難しいのが現実である。 現場にと考えると、どうしても発達障害や精神科領域の話になりがちで、未だ、答えに到達できていない。専門分野過ぎて、お勧め度は、 とします。
Mar26.2013(N)
No.337
行動分析学入門
多分、行動分析学としての専門書では日本で初めて出版された一冊。1年前で19刷なので、専門書としてはかなりの売れ行きでありロングセラー。 内容は共著者であるマロット氏の「Elementary Principles of Behavior」をベースとして日本独自で執筆編集されたとのこと。 著者のあとがきをみると、さらに私家版として1993年からの長い歴史があるとされ、私家版でも4000部以上の発行のようでテキストとしてはかなりである。 内容も以前に紹介した2冊(メイザーとミルテンバーガー)と遜色ないものであり、シェーマをふんだんに使用し理解度は上をいくと思われる。 でも、繰り返しになるが、臨床かとしては、学問では実学としての「行動」分析学を期待し、その答えを欲してしまう。 未だ、答えがないのかもしれないが、医療行為していの行動変容という実態がある以上、答える義務があるように思うが、如何なものであろうか。 内容評価は 、 値段は 。 行動分析学関連では日本語書籍としてあと2,3冊程度を残すのみ。洋書ではスキナーの日本語に翻訳されていない古典を数冊とあと他の数人の著作を手配したが、 どうも解らないまま終わりそうな予感がする。これもまた、勉強かもしれない。お勧め度は、 とします。
Mar25.2013(N)
No.336
メイザーの学習と行動(日本語版 第3版)
なかなか終着点が見えてこない行動分析学関連の一冊。今回の原書は「Learning and Behavior, 6th ed」というタイトルで2006年に出版されている。 翻訳は原書2版で一回の日本語版出版を想定されているようで原書が第6版であり、日本語は第3版となっている。 本書は学習と学習行動の最も基本的な原理を提示したものであるが、内容は素人目には行動分析学の学習テキストそのものであり、 ミルテンバーガーの行動変容法入門と変わらないように見える。言葉が違い、対象が違うが、内容は同じであり、終着点が見えないのもあきらめの境地に近い。 結局、この学問は何をしたいのか、である。多分全体が体系化されていないので、素人には利用、理解しがたいのでないだろうか。 学習と書かれているが、行動分析学を学ぶテキストとしては十分であるが、それをどのように応用するかは書かれていない。 内容評価は 、 値段は 。 430ページ余りのしっかりとしたテキストである。内容も講義として使えるよう配慮され、頑張れば理解できるものでしょう。 でも、先が見えないのは、テキストのせいではなく、当方の能力かもしれません。それをコミで、お勧め度は、 とします。
Mar24.2013(N)
No.335
入門 問題行動の機能的アセスメントと介入
今読み勧めている行動分析学関連の一冊。原書は「Functional Assessment and Intervention」というタイトルで1998年に出版されてものの翻訳である。 それでも10年前の書籍となる。本書は発達障害のある方が起こす問題行動に対する機能的なアセスメントとその介入方法を論じた一冊であり、 どのように行動変容へと導くかの方法論が述べられている。50ページ程度の小冊子であるが、行動分析学の本ではよく参考文献として引用され、 いわば種本扱いされていて購入した。内容はすでに他の本で読んだことばかりであり、新しいことは無かったが、 以前は発達障害がやはり対象であったかと再認識した。具体的な分析と対処方法が提示され、以前は基準、標準を示す一冊だったと推察する。 古典的な書物なのであろう。 内容評価は 、 値段は 。 どうしても一般診療には結びつきにくい内容であり、現場への還元が難しい一冊であった。行動分析学と一般臨床とのブリッジはまだ先なのかもしれません。 手配した書籍はあと数冊残っていますので、これからに期待したいものです。お勧め度は、 とします。
Mar23.2013(N)
No.334
DNA医学の最先端 自分の細胞で病気を治す
DNA医学を1991年に提唱し、これを専門として取り組んでいる大野先生の一冊。 免疫と病気をまずは解説し、免疫療法としてのがんの治療の最前線を第二部で述べ、山中先生の業績を踏まえ、 第三部で自家幹細胞治療での拓かれる未来が提示されている。 より具体的には、自信のがん細胞をDNAレベルで詳細に検討することで、 より効率よく免疫システムを活用するがん免疫療法や自己骨髄や臍帯血からの幹細胞利用での倫理性の担保や安全性への展望を確認し、 脳性麻痺や脊髄損傷などへの再生医療への道を提示する。通読はそれほど難しくないが、少し踏み込もうとすると、そう簡単ではなさそう。 DNAはそんなに甘くないですよね。 内容評価は 、 値段は 。 最後は、自己免疫疾患やアルツハイマーまで話が及び、やはり専門家の目は遠くまで見ているんだなと実感できる新書です。お勧め度は、 とします。
Mar22.2013(N)
No.333
終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン2013年版
緩和医療となるとすぐに目くじらを立てて、平生はおとなしい方が豹変される。医療関係者であればあるほど、持論もちたくなるところでしょう。 日本緩和医療学会が発行する5番目のガイドラインで、2006年から学会会員向けにホームページ上で公開されていたものの改訂版が書籍として発行された。 最低限の知識と思い通読。いつもガイドライン作成の背景や手順が述べられ、輸液の背景知識の説明となる。 しっかりと皮下輸液について触れられている、倫理的な側面も浅井篤先生が分担されている。次にガイドライン本体の臨床疑問と推奨に入り、知識の整理ができる。 ただ概ね、エビデンスレベルはかなり低く、推奨はかなり強い。このギャップは緩和だからでしょうか。 これが倫理的な問題や法的な問題となると、さらにエビデンスなどとは違った次元となり、使われる言葉も、 「許容される」とか「法的責任を問われない可能性がある」などとなり、ギリギリのガイドライン提示という気がする。 内容評価は 、 値段は 。 緩和医療にガイドラインはそぐわない気がしますが、スタンダードが必要な意味も理解できます。 ガイドラインを使う側の問題であり、単にマニュアルにならないところが、緩和医療なのでしょうか。お勧め度は、 とします。
Mar21.2013(N)
No.332
年報 医事法学25
日本医事法学会が出している年報の2010年版。2009年冬の学会報告を合わせて載っており、大野病院事件判決がワークショップで取り上げられている。 シンポジウムとしては、「包括的な死因究明制度の確立を目指して」と題して企画されており、 巻尾に当時政権交代の結果で民主党への期待が強く出た文章が散見される。 判決紹介は当然2009年のものが中心となり、実際に何があったかというと、 分娩後の出血性ショックのいける高次医療機関への転送義務や別件での点滴についての注意義務違反について、健康雑誌の記事を載せた専門医師の責任、 割り箸事件の控訴審、薬剤の合併禁忌について、精神鑑定医がマスコミに情報を漏らした秘密漏示罪について、足利事件の再審決定などである。 こう見ても、どこかで聞いたものが多い。しかし、結構忘れているものでもありそうです。 内容評価は 、 値段は 。 法律関係の日本語は硬く、読んでもすぐにはアタマに入らない。医事法をここまで追いかけなくても、という気にすぐなってしまう一冊です。お勧め度は、 とします。
Mar20.2013(N)
No.331
あの手この手で攻める!腹痛の診断戦略
こちらは福井大の総合診療部教授になられた林先生の一冊。林先生を有名にしたレジデントノートの別冊にて救急・ERノートの第8巻である。 これも今、藤田保健衛生大学総合救急内科の教授になられた山中克郎先生始め数人を除けば、多分は林ファミリーが主体の執筆陣である。 序文から、いつもの林節が炸裂しており、最後まで違和感のないリズムで通読できます。 多執筆の書籍ですが、重要な部分のみ重複しており、全体として統一感のあるものに仕上がっており、オススです。 解剖学的、非解剖学的アプローチ両方が記載され、症状別、年齢別、性別、検査別の考え方やPitfallsも面白く読めます。一冊を通じて、うまい、の一言です。 内容評価は 、 値段は 。 参考文献や執筆のスタイルを含め、教育が行き届いているのでしょうか。通常ある複数の著者による欠点が余り目立たず、長所に変わっている数少ない近著の一つです。 タイトルは相変わらずケバサはありますが。お勧め度は、 とします。
Mar19.2013(N)
No.330
家族依存症
共依存(コゥディペンデンス)という「人間関係の病理」についての考え方に基づいて書かれた一冊。 購入してから古い本だと気が付きましたが、内容は時代の流れとは余り関係がないものでした。共依存が家族の中でどのような形態を取っているか。 アルコール依存症、過食・拒食などの食事依存症、仕事依存症などの何らかの行動への溺れは一定の人間関係パターン、共依存症から始まると著者は述べています。 もともとは新聞に連載された短文をつなぎ合わせ、25年前に出版されたもので、一種の古典です。 中に出てくる「アル中の妻症候群」が当方には一番わかりやすい共依存の実際でした。通読しても世相は移り変わっても人間は余り追随していない気がしてきます。 内容評価は 、 値段は 。 ところどころに高度成長時代、バブル期を思い出される文章に触れられ、なぜか懐かしい気持ちにもなれます。 深刻なテーマですが、悲観的にならず通読できます。お勧め度は、 とします。
Mar18.2013(N)
No.329
肺癌化学療法レジメン 実践と工夫
日本医科大学関連施設にて肺癌治療にタッチされている方々による肺癌化学療法を中心とした一種クックブックの書籍です。 ハンドブックスタイルに近く、全体で160ページ程度の冊子となっています。 内容は、総論から始まり、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫、合併症時のモディフィケイションと進み、 最後にコラムとして薬剤師と看護師の立場でTIPSが述べられています。 スマートなフォーマットでの薬剤解説など、読みやすさ、使いやすさを追求した内容で好感が持てます。 ただ、惜しむらくは医師でも肺癌にたずさわったことのない方が勉強として読んでも、肺癌化学療法を行う前提としての当然あるべき常識が欠落しているために、 現場ではまだこの本一冊では役に立たないであろうと思われることです。クックブックになりきっていない点が残念です。 内容評価は 、 値段は 。 著者は多分、対象をそういったものにはおいていず、肺癌化学療法の専門家、ないしそれを目指している方を念頭において作成したのでは、と推察します。 自分の立ち位置を考えて読むもよし、読まぬもよし、の書籍と思われます。お勧め度は、 とします。
Mar17.2013(N)
No.328
狂気という隣人
別の書籍で面白い解説をされていたので、その方の著作と思い購入した一冊。副題が「精神科医の現場報告」。 元は9年前の単行本の文庫化である。いつものように「はじめに」から読み始め、第一章「もうひとつのER」後半部の都立松沢病院が出てくるころから違和感があり、 第三章「スキゾフレニック・キラー」で再度詳細に同じ病院の登場となって、はたと気が付きました。実は3度目の購入というか、通読だったのです。 手元に単行本一冊と文庫本が二冊あります。文庫は初版と4刷のものです。よくやる話ではありますが、3度目となると結構がっくりきます。 2度目というのも年に数回はあるのですが。内容は精神科救急から入り、現在あの精神障害者の公的な取扱、特に警察との関連について当時の状況が記載されています。 今は現場では余り変化はないようですが。 内容評価は 、 値段は 。 感想は依然とほぼ変化がなく、読んで面白かったというのが素直な気持ちです。 ただ、いかんせん、内容が少し古くなってしまった。やはり文字は恐いということになるのでしょうか。お勧め度は、 とします。
Mar16.2013(N)
No.327
行動分析学マネジメント
行動分析学、行動の原理の応用可能性は既に30年余りの検討期間を有している。 主にビジネスへの応用であったが、医療の領域と合わせその発展のターゲットとなってきたようである。 わが国においても看護やリハビリテーションの領域を中心に研究家や実践家が増えてきているとされ、今後の着実な発展が期待されている。 しかし、ビジネス領域での展開が期待され、本書の執筆と繋がっている。 章立てを見ても、「今ころ組織・人材マネジメントに行動の科学を」「褒めてやらねば、人は動かず」「上手な褒め方、無意味な褒め方」「苦手な顧客の克服法」など、 ビジネス書が好きな方ならどこかで読んだような言葉が並んでいる。使い古した内容を新しい切り口でどう考え対処できるかという一冊ということになる。 内容評価は 、 値段は 。 組織行動マネジメントは研究開発や科学性を重視した立場であり、パフォーマンス・マネジメントは現場での実践を主体とした分野と定義されている。 科学から実践へと、当然のことながら行動分析学が進んでいく中で、まずはビジネスモデルとしてどう扱っていくのかが、興味のある点です。 しかし、本書を読んでも当方には余り合点がいった気がしません。 多分以前の食傷したビジネス書の域をまで出ていない気がするからでしょう。何か、新しいことを期待したいものです。お勧め度は、 とします。
Mar15.2013(N)
No.326
臨床行動分析のABC
行動分析学を基に認知行動療法に対応した書籍の一冊。厳密には行動的心理療法を臨床実践の現場から解説した本のようです。 1990年代に生まれた機能分析心理療法(FAP: Functional Analytic Psychotherapy)やACT(Acceptance & Commitment Therapy)、DBT(Dialectical Behavior Therapy)の紹介、 入門書としても紹介されています。いずれにしても現在の心理療法をセラピストが理解する上で勉強すべき内容が網羅されているらしいのですが、 行動分析学の臨床応用を勉強したい当方とっては専門的過ぎて、正直ついていけませんでした。300ページ強の本で通読するのがやっとでした。 内容評価は 、 値段は 。 心理学、心理療法に興味のある方は愉しんで読めるのでしょうが、その素養のない当方にとっては苦学となってしまいました。 また、深く読めずどこが行動分析学の応用なのかも理解できないまま終わってしまった一冊です。心理療法ができていない当方にとっては、お勧め度は、 とします。
Mar14.2013(N)
No.325
パフォーマンス・マネジメント-問題解決のための行動分析学-
島宗先生が大学の授業で教科書して使用して自費出版のものを書籍化した一冊。 内容は10年以上前経っても古びていない。行動分析学の知識をうまく使い、「勘や経験に頼らなくても、あるいは運まかせにしなくても、 自分たちの行動を科学的にマネジメントできる。社会や組織や個人の、様々な問題を解決していける。能力がないとか、資質がないとか、他人や自分を責めなくてもいい。」 という著者の「はじめに」の言葉通りの書籍です。 架空の会社を舞台に主人公を設定し、仕事場での事例からひとつひとつ学んでいくスタイルで、問題、解決策、解説、クイズ、注釈の順で進行する。 学習を目的にした、また、実務を想定した内容です。具体性があり、学びやすい反面、他の実用書との違いもわかりにくなっている気がする。 この点が行動分析学を主体にして現実的な適応例での問題点かもしれない。 内容評価は 、 値段は 。 独学で学ぼうとするにはよい本かもしれませんが、ある程度基本的な知識がないとスピードが上がらない上に、 他のビジネス書が頻回で出てくるテーマについて視点を変えて書かれていると理解出来る反面、まわりくどい感が強くあります。 ただ、内容は教科書としての位置づけのためしっかりしていて、実際の講義で聴くにはうってつけなのでしょう。お勧め度は、 とします。
Mar13.2013(N)
No.324
行動分析学入門
これも行動分析学関連の一冊ですが、学会の第一人者が執筆されただけの内容です。 本当にわかりやすく、2005年同時の行動分析学についての位置づけ、理解が日本にいて海外からの知識の押しつけではなく、容易にできます。 多分、素人が最初に手に取るべき本なのでしょう。心理学と行動分析学の関係や学問としての創始者であるスキナーの詳しい解説など、 他の書籍で読んでも今ひとつ理解しにくい箇所もすんなり頭に入ってきます。 行動分析学の心理学としての誤解を解き、行動というものの科学性をベーコンやパブロフ(条件反射で有名な)などを登場させ、うまく説明されています。 ただ、2005年以降はどうなのかは、近著をみないと分かりませんし、どうも学問としては興味深いですが、なぜが隔靴掻痒の感があります。 いずれにしても、新書にも関わらず他の書籍でも頻回に引用されている種本のひとつですので、この分野に興味のある方はまず手に取られることをお奨めします。 ミルテンバーガーの「行動変容法入門」を読まれる前に一度チェックしておくべき書籍です。 内容評価は 、 値段は 。 簡単の行動の科学的裏付けを学問的に行うのはよいのですが、これだけ苦労して大変の解釈を行うという点で、実務としての意義付けが今ひとつ不明確で、 かつ有用性が理解しがたい部分があり、この点を以降の書籍で確認したいものです。お勧め度は、 とします。
Mar12.2013(N)
No.323
人は、なぜ約束の時間に遅れるのか
今読み進めている行動分析学関連の一冊。副題に通り、「素朴な疑問から考える行動の原因」についての論考である。 心理学として行動分析を解説し、その科学的根拠を分かりやすくしようとより身近で具体的な問題点から書き下ろしたものである。 後半には行動分析学としての論点が明確に出てくるが、大半は、血液型での性格判断であったり、なぜひとは騙されるかであったりと、人が興味を引きそうなテーマが並んでいる。 肝心な点は著者があとがきで書いているように東大の蓮實先生による映画を課題として「何が見えましたか」という問いかけに対して受講生がうまく答えられずに、 如何にプロの仕事は感動や解釈を生み出すための事実や具体性の仕込みにあると喝破し、 行動分析としての「行動のなぜ」を心理学的な見えない「心」の概念で説明することを拒否しているところにある。 内容評価は 、 値段は 。 行動分析学の周辺部分を理解するため、ないしは行動分析学学習の導入としては有意義な一冊ですが、ある程度予備知識がないと本当の面白さが分かりにくいと思います。 新書特有の読み物感覚として購入するのであれば、「あり」かもしれませんが。お勧め度は、 とします。
Mar11.2013(N)
No.322
行動変容法入門
以前読んだ新書から行動分析学に興味が涌き、まとめて購入した本の一冊。大学の教科書して定番らしく、内容素人にもわかるレベルから解説されており、好感がもてる。 心理学の教授が執筆し、その担当領域が、行動療法とアセスメント、心理臨床の問題と実践、発達障害と行動分析学、行動変容法、児童精神病理と治療などであるから、 どういった分野で活かされているかは想像がつくと思う。とくに総合診療でよく出てくる行動変容について基礎から一度は学ぶときに必須の書籍でしょう。 ただ、エッセイ風に通読するタイプの本ではなく、あくまでも学ぶといった姿勢を読み手に要求する本でから、しっかりと覚悟を持って読まれることをお奨めします。 内容評価は 、 値段は 。 出版されてから7年、原書は10年以上前の書籍です。こういった、ある意味読まなければならない本を無視してきて自分に若干がっかりしています。 ただ、当然のことながら、読み手を選らず一冊ですから、万人にお勧めはできませんが。お勧め度は、 とします。
Mar10.2013(N)
No.321
シリーズ生命倫理学(2)生命倫理の基本概念
生命倫理と基本概念といえば、ビーチャムとチルドレスの4原則しか知らない当方にとって、どういった内容で提示されるか、非常に興味がありました。 倫理自体ついての説明に始まり、生命について、性(プロダクティブ・ヘルス)、死についてと進み、身体、病気、障害に繋がります。 そして、人間の尊重と人権、パーソン論に入り、やっと自律、責任、正義、公共性が出てきます。最後に動物への責任があって一冊終了です。 分量は240ページですが、圧巻です。門外漢でしかない者では、不十分な理解でしかなくても、今は倫理の基本的な概念が俯瞰できるのは、大変有用なことだと、 通読して感じられる一冊です。 内容評価は 、 値段は 。 読み終わるとかなり緊張して構えているでしょうか。かなり疲れています。かなり難しく、一部でも理解できたら、程度の気持ちでないと逆に吹き飛んでしまうかもしれません。 現時点でもスタンダードと思い、何とか最終地点(全巻読了)でも行きたいものです。でも。やっぱり読み手をえらぶのでしょうね。お勧め度は、 とします。
Mar9.2013(N)