放射線室
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MRI(=Magnetic Resonance Imaging)とは?
MRI検査とは、“核磁気共鳴現象”とよばれる現象を利用して生体内の構造や機能を画像化することを言い、一般に、MRまたはMRIと呼ばれています。“核”という字が含まれているので核物質を連想されるかもしれませんが、エックス線などの電離放射線はまったく使われていませんのでご安心ください。
核磁気共鳴現象とは、「強く均一な磁場中の生体組織が、ある周波数の電波を受けると、組織中の特定の核子(たとえばプロトン(1H))はそのエネルギーを吸収し、その電波を切ると元の状態に戻る」という現象をいいます。MR現象と呼ぶこともあります。
ここで、この生体や組織の周辺に電線をおいておくと、核磁気共鳴現象の過程で電気信号が得られます。この電気信号をコンピュータで計算処理(=数学的にはフーリエ(逆)変換の応用です)すると、生体や組織の構造や機能が画像として得られます。これがMR画像とよばれるものです。
MRIの優れている点は、まず身体の構造や性状、血流情報などを的確に知ることができることです。この検査でしか知り得ない貴重な情報を得ることも少なくないため、近年需要が増しています。また、患者さまの身体的負担が少ないことも長所にあげられます。
患者さまにとっては「音がうるさい」「狭い筒状の機械の中へ入る」・・・ということが印象に残るようで、苦手という方もいらっしゃいます。ただ、基本的には体を動かさずに寝ているだけの検査です。特別難しいことはありませんので、出来るだけリラックスして検査を受けて頂くのが良いかと思います。(胸腹部の撮影ではいわゆる「息止め」をお願いすることもあります)。
MRI検査では造影剤という薬剤を併用する事があります。
一般的には胸部・腹部・四肢の動脈の検査の場合や、炎症や腫瘍の存在が疑われる場合などに検査の意義向上が期待され、使用することが多いです。
MRI検査について
当院では、各検査は20~40分ほどかけて行なっています。
MRI検査では、撮影の方法によって、各組織の様々な情報をどのような角度にも撮影することが出来ます。そのため、検査の目的や部位に応じて適切な設定を行い、検査を進めていきます。
1.脳MRI
脳組織の解剖学的構造の把握から、脳腫瘍、脳梗塞、脳動脈瘤の検出などに有用です。脳組織だけでなく、血管も描出することができます。近年、検診(脳ドック)として受けられる方も多くなっています。
2.脊髄MRI
脊柱管(=背骨にある、神経の通り道)狭窄、椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍などに有効です。この領域では、レントゲンやCTは骨の状態を詳しく知るためには有用ですが、椎間板や靱帯、神経そのものなど軟部組織を評価するには一般にMRIが有利といわれています。
3.乳腺MRI
現在、乳ガンの検査では超音波(乳腺エコー)といわゆるレントゲン(マンモグラフィー)が主流です。その中でMRIは、感度よく腫瘤の存在、大きさや広がりを正確に把握することができるため、近年需要が高まってきています。
乳ガンは、一般に造影剤をよく取り込む性質を持っているため、造影剤を使用した検査が推奨されています。
患者さまへのお願い
MRI検査では、上述のように強い静磁場中に入っていただきます。そのため、特殊な制限がいくつかあります。
以前はペースメーカー等の埋込デバイスを装着されている方は絶対に検査を受けて頂く事が出来ませんでしたが、近年条件付きでMRI検査に対応したペースメーカー等の体内埋込デバイスが開発され、それらの機器が埋込まれている患者さまも増えてきました。もし、それらの機器を装着されている場合は検査予約時に担当医師へその旨伝えて頂き、MRI検査実施の可否を判断頂きますようお願い致します。
条件付きMRI検査対応ペースメーカー等の体内埋込デバイスであっても、検査当日に患者さまとペースメーカーの状態を確認した上でペースメーカー等のデバイスをMRI検査対応モードに変更できない場合があり(これが『条件付き』となっている理由です)、その場合はMRI検査を受けて頂く事は出来ない事がありますので、ご了承下さい。
脳動脈瘤クリップや人工骨頭、人口内耳など、体内に医療用金属を埋め込まれている方は、製品によっては検査が出来ない場合もありますので、検査前に医師または担当技師にご相談ください。
冠動脈ステントを留置されている患者さまは、留置後4週間はMRI検査を受けて頂く事が出来ない製品もありますので、検査前に医師または担当技師にご相談ください。
現在妊娠されている方・授乳中の方は検査前に医師または担当技師にご相談ください。
金属類(鍵/アクセサリー類等)はMRI装置に強く引き付けられ危険であり、事故防止のため持ち込み厳禁です。
電子機器(時計/計算機/補聴器等)は持ち込み禁止です。故障の恐れがあります。
磁気記録媒体(クレジットカード/キャッシュカード等)は持ち込み禁止です。カードが使えなくなります。(上記手荷物に関しましては、検査前に備え付けのロッカーへお預けいただきます)
火傷の危険性があるため、マスカラ、アイシャドーなどのメイクは落として頂きます。また、コンタクトレンズは外して頂きますので、容器をご持参ください。一部の発熱下着でご着用頂けない場合があります。入れ墨(タトゥー)の方も検査出来ない可能性がありますので、お申出ください。

MRI造影検査の諸注意
MRI検査で用いる造影剤は、ガドリニウム(Gd)または鉄(Fe)の化合物で、静脈内に直接投与するもの(注射薬)と、マンガン(Mn)の化合物で経口投与するもの(飲み薬)があります。亜急性毒性、生殖器への作用なども問題ないとされています。副作用として、吐き気・嘔吐・熱感・じんましんなどが確認されていますが、発現率はそれらすべてを合わせても 0.5~1%未満です(他の薬剤と同様、アレルギーの発現を完全に予測することは不可能ですが、造影剤が特別副作用を起こしやすい訳ではありません)。
この薬剤にアレルギーのある方や喘息の方、腎臓の機能に障害のある方などは、リスクが高いとされており注意が必要です。事前に、担当医師へご相談ください。
造影剤を実際に使うかどうかは、検査する部位やその目的と患者さまの状態を考慮して、担当医師や放射線科医師が決定しています。不明な点があれば、その都度ご相談ください。